トップ>Triumph Spitfire MK4 分解編>いよいよ機関の分解に着手(2003年1月)
新しい年が明け、2003年になりました。
昨年の5月に車両を引き取ってから既に8ヶ月が経過してしまいましたが、 愛車はボンネットが外された無残な状態のままです。
昨年後半の仕事の忙しさが災いしたとはいえ、Spit君には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
でも、昨年末で会社の悪魔のプロジェクトもほぼ終息し、今年に入って何とかまともな生活を送れるようになりました。
これでレストア作業を再開できるぞ、ということで、いよいよ本丸のエンジン本体の分解に気合を入れて取り掛かることにしました。
☆ラジエター、サーモスタット、ウォーターポンプ、ホーン
クーラントがびっしりゼリー状に固まって
詰まっていたサーモスタット部
足回りの分解でもそうでしたが、機関部の分解も錆との戦いです。
特に高温になる鋳物製のパーツ類は酸化が激しく、ひどい錆です。
まずはラジエターのとりはずし。
これはほとんど問題なく外すことができましたが、一部、レジエターグリルと左側のガイドを取り付けているナットが錆付いており、簡単には取れません。
とりあえすガイドがついたままの状態でラジエターを取りはずしました。
取り外したラジエターは、月間Old Timerのレストア特集に載っていたラジエター屋さん(ラジエター工業)にオーバーホールに出すことにします。
ラジエターに続いてサーモスタット等、ラジエターからエンジンに繋がるパーツ、ホース類をはずしました。
サーモスタットの中はクーラントがゼリー状に固まって詰まったような状態になっており、冷却水が円滑に循環するとはとても思えないような状態でした。
走り出したらきっとすぐにオーバーヒートしてしまっていたでしょう。

次にホーンも外しましたが、このホーンが傑作です。
画像のように、ラッパがあって、そのラッパにビニールホースが付いており、これがエアーポンプらしきものに繋がっていて、このポンプから空気が送られてラッパが鳴る、という構造になっているように思われます。(たぶん)
もしそうだとすれば、な、な、なんと原始的な・・・・。こんな構造のホーンなんて、近年の車にはないですよね?きっと、、、、
私はこれを見て思わず笑ってしまいました。

原始的な構造の何ともユーモラスなホーン 例によって錆びに覆われたウォーターポンプ
☆苦労のインマニ、エキマニ
さて、そのあとが大変でした。
インマニとエキマニに取り掛かったのですが、まずインマニとエキマニの接合部のボルト/ナットが完全に錆ついており、レンチで回そうとしてもびくともしません。
思いっきり力を入れると、みごとにボルトからポキッと折れてしまいました。
エキマニとエキパイの接合部も同じ状態で、こっちはもっと簡単に折れてしまいました。
で、登場したのが「ナットクラッカー」。色んな工具を扱っているワールドインポートツールズさんで1200円程度で購入。
この工具の頭の部分をナットにかぶせ、片方がタガネのようになっているボルトをギリギリと締め付けていくと、「パキッ」という音とともに簡単にナットが割れてくれます。
う~ん、これはナイスな工具かも・・・
で、なんとか錆付いたナットは外し、ボルトを緩めることができました。

その後、インマニをシリンダーヘッドから外すことは比較的簡単にできたのですが、エキマニをシリンダーヘッドから取ろうとしても、後部側のボルトが錆付いているのでしょうか、簡単には外れてくれません。
木材を当てて金槌でたたいたくらいじゃだめ。シリンダーヘッドとエキマニの間に少し空いた隙間にマイナスドライバーの先をこじ入れて、金槌で慎重にドライバーの頭をコンコンとたたいていって、ようやく、「カコッ」という感じて外れてくれました。 外れた瞬間は思わず「やった!」と小声で叫んでしまいました。
苦労した作業ほど、それを終えた時の喜びって大きいものですよね。

エキマニとエキパイの結合部も同様に固着しており、こちらも細めのタガネを使ったり、あの手この手で少し隙間が出来る状態にし、マイナスドライバーの先を使って何とか外すことができました。
マフラーはエキパイとともに車体から取りはずしました。
マフラーは一部が腐食してしまっているので、新品に交換するしかありません。

エキパイは錆に覆われてはいますが、ヤスリで少しこすると、中からは綺麗なスチールが顔を出しました。捨てるのはもったいないですね。
手間はかかりそうですが、何とか錆を落として再生することにしました。
エキマニも相当錆に覆われていますし、ボルトも折れてしまったので交換しようかとも思ったのですが、こちらも錆さえ取ればまだまだ綺麗ですし、ボルトもスタッドボルト(両サイドがネジになっていて抜き取れるタイプのもの)なので、このボルトだけを新品に交換することにしました。
でもこのボルト、抜き取るのが大変そう、、、どうやって回せばいいんだろう、、、

何とかシリンダーブロックから引き剥がしたエキマニ
手前のボルトが根元からポッキリ
インマニとエキマニの結合ボルトも折れました
☆補機類は順調
機関の中での大物はなんとか外し終わりました。
あとは補機類です。こっちは特に錆で固着しているものもなく、オルタネータ、デスビ、スターターモータ、燃料ポンプ、オイルフィルターを次々に外し、家へ持ち帰りました。(あ、オイルフィルターは捨てますけどね)
ここまでの作業を1月中に終えました。
あと、余談ですが、エンジン分解を始めたあとで気が付いたことがあります。
分解前に圧縮比を測っておけばよかった、と言うことです。
組み付け後にどれだけ規定値通りに組みつけられたか、圧縮比を測ってある程度判断できると思うのですが、O/H前と比べ、どれだけ改善したかを知るためには当然O/H前の値を知っておく必要があります。(こんなの、きっと当たり前のことなんでしょうが、そこは素人の悲しさではないでしょうか。)
オルタネータは比較的程度が良い スタータモータとディストリビュータのドライブシャフト部