トップ>Triumph Spitfire MK4 分解編>ピストンの組み付け(2003年9月)
☆ピストン圧入&組み付け
シリンダに、ピストンリングコンプレッサで締め付けたピストンを挿入しているところ ピストンを圧入しました。この作業も思ったよりも簡単でした。
ピストンリングコンプレッサで、ピストンリングを圧縮し、シリンダに挿入します。
ピストンには前後の向きがあるので、挿入するときにはこれを間違えないように注意が必要です。
続けて、途中まで挿入したピストンの頭をハンマーの柄のゴムの部分等で、軽くコンコンたたいてあげると少しづつシリンダの中に入っていきます。
途中、ピストンリングが完全に締め付けられていないと、そこに引っ掛かったりします。
その場合はコンプレッサの増し締めを行い、再度コンコン。
一連の作業は非常に簡単です。

シリンダに全てのピストンを挿入し終わると、裏からコンロッドをクランクシャフトに組み付けます。
コンロッドとクランクシャフトにキャップを組み付けてボルトを締めていきますが、最初は仮締め程度に締めておき、全てを組み付けてからクランクシャフトを1~2回転させ、組付けを馴染ませます。
キャップを組み付けるとき、必ず組み付けられていた時と同じキャップを同じ向きにしなければなりません。
これをデタラメにやってしまうと、メタルが焼き付いてしまう可能性のあるらしいので、注意が必要です。
あとはコンロッドを手で押したり、ゆすったりしてガタが無いかどうか確認し、問題なければ規定値のトルクで本締めします。
これが終わればあとはオイルポンプを組み付け、ガスケット、オイルパンを取り付けてしまえばシリンダブロック本体のオーバーホールが完了です。う~~うれしい!

☆やってしまいました!
さて、規定値のトルクで締めるためにはトルクレンチが必要です。
書き忘れましたが、組み付ける前にメタルを新品に交換しました。各メタルの内側にはオイルを塗布します。メタルの裏側にはオイルを塗ってはいけないそうです。あくまでも内側だけです。

随分以前にホームセンターで2980円で購入しておいたトルクレンチがあるので、コンロッドのボルト、クランクシャフトのボルトの締め付けにはこれを使い、初めて規定トルクでの締め付けをやってみました。
でも、何だかトルクの設定の方法がよくわからないというか、面倒というか、ちょっと怪しい手順で締め付けを始めました。
マニュアルに拠ると、コンロッドボルトの締め付けトルク規定値は8Kgfとなっている。
8Kgfって、結構大きなトルクなんですね。というか、ほんとに設定が合ってるのか、このトルクレンチが正しく動作してるのか、とっても不安。
でも、ま、何でもやってみましょ、ってことで、よいしょ、よいしょ、と各ボルトを締めにかかりました。一通り締めてはみたものの、何となくトルクが合ってるかどうかが不安で、またボルトを少し緩めてからレンチのトルク値の設定を変更して再度締め直したりしていました。
で、4番のコンロッドボルトをグッと締め付けたところ、いきなり、ガクッという感じでトルクが全く無くなりました。

「あっ!やばい!」
時既に遅し。
そうです。ボルトが見事に折れてしまいました。
しばし呆然。(これで何度目のしばし呆然かなぁ・・・)
シリンダブロックのOH完了が目前だったと言うのに・・・・
と、嘆いていても事態は前へすすまない。
原因は?考えられる点はふたつ。
1.折れたボルトは金属疲労を起こしていた
2.規定値以上のトルクで締め付けた
折れたのはコンロッドボルト。確かにコンロッドは「熱」と「力」が両方加わる部分。
加えて30年前の古い車のエンジン。エンジンの内部を見た限りではとても近年パーツ交換を施したようには見えないので、金属疲労は十分考えられる。
一方、トルクレンチについては、はっきり言って安物だし、使う私も十分使い方を理解しているとは言えないので、締め過ぎも有り得る。

結論:
・金属疲労を想定し、折れてしまったボルトを含め、コンロッドボルトは8本すべてを新品に交換する。
・トルクレンチを買いなおす。やはり結構重要な工具なので、金を惜しまず(ある程度)に、いいものを買うことにしました。(使い方もちゃんと訊こう)
あと、折れたボルトの先がねじ込まれたままのコンロッドは、ドリルを使ってボルトを砕き出そうと思います。
うまくいくかどうかわからないので、コンロッドを破損してしまったときのことを考え、コンロッドボルトと一緒に新品のコンロッドも1本だけ注文することにしました。
コンロッドは1本35ドルなのです。安いですよね?
上が古いメタルのままのコンロッドキャップ。下が新品に交換した状態
この安物のトルクレンチがなんか怪しいんですよね、、