トップ>Triumph Spitfire MK4 分解編>フロントディスク回りのリペア(2003年11月)
☆ハブ、リンクのリペア
電動ドリルと錆び落としでざっと錆びを落としたハブとバーティカルリンク。
所々に残った汚れたグリースを綺麗に拭き取り、洗浄液にて洗浄します。
入り組んだ部分の錆びは錆び取りケミカル液を塗ってからしばらく置き、水洗いしてから320番の耐水ペーパーで簡単に研磨、表面のざらざらを少し滑らかにしておきます。

錆び取りのケミカル液を使った直後のスチールは、あっという間に表面にうっすらと錆びが浮いてきます。塗装を始めるまでそのままにしておくと結構悲惨な状態になります。
ここで活躍するのが、"メタルレディー"という、塗装下地剤です。
一応、錆び取りの役目もしてくれますが、その効果はあまり強力ではなく、むしろ剥き出しになったスチールの下地が酸化するのを防いでくれる役目の方が大きいです。
こいつをスプレーしてしばらく置くと、表面の薄い錆びを除去してくれ、なおかつスチール表面にリン酸の皮膜を形成して くれるらしいです。
実際、スプレー後、水洗いしてから少し置くと、表面に白っぽい皮膜ができ、 そのあとは少々屋外に放置しておいても錆びは出てきません。
さらに、このリン酸の皮膜は塗装の乗りを良くしてくれるとのこと。なかなかの優れもんでしょ?
錆び取りをして下地が露出したパーツには、この下地剤を使うことをおすすめします。
東急ハンズやjoyaストレート等で購入でき、価格も1800円程度なのでリーズナブルです。

というわけで、錆び取り&下地処理を施したハブとバーティカルリンクにPOR-15を塗布しました。
サンダーで錆を落としたリンク。この後、さらに耐水ペーパで研磨します
”メタルレディ”というケミカル液。研磨後の下地処理にはもってこい
☆古いボールジョイント、トラニオンを抜く
古いボールジョイントを抜き取りました。タイロッドリムーバーを使いました。
左側画像のようにリンクとジョイントの間とジョイントのボルトにタイロッドリムーバーを噛ませ、リムーバーのボルトをギリギリと締めていきます。
手で締められない程度に固く締まったら、ハンマーでボルトの頭をガツンッ!とやればガチッ!という感じでジョイントが抜けてくれます。

最近になってわかってきたのですが、ボルトにしろ何にしろ、"固く組み付いたものを緩める"ためには、この"ハンマーで叩く"というワザは非常に強力です。
スピットの分解を始め、最初にブレーキの分解でえらく苦労しましたが、この時はただただレンチで力一杯緩める、ということしかやりませんでした。なので、非常に苦労し、時間もかかったのですが、最近は違います。
最近ディスクロータを取り外した時も、最初にナットにラチェットレンチの駒を被せたら、まずレンチのバーの一番お尻の部分を緩める方に向かってハンマーで「ゴンッ」です。
これで普通に固くしまっただけのボルトでしたら簡単に緩んでくれます。作業時間は大幅に短縮できます。(翌日、筋肉痛になることもないし)
プロの方ならきっとあたりまえのことなんでしょうが、私はこのことに気づくまでに1年以上もかかってしまいました。
もちろん、"叩く"ということは、パーツを壊してしまうことと隣り合わせなわけですから慎重に行う必要があることは言うまでもありません。

トラニオン(右側画像の金色のパーツです)はリンクにねじ込まれただけなので、グルグル回してやれば外れます。
機能上、固くねじ込まれているものではないので(ステアリングの動きに合わせて回転する構造になっています)、こいつを外すこと自体は難しくはありません。
リペアが完了したリンク、ハブに新品のパーツを仮組みしてみました。画像右側ですが、当たり前だけど見違えるほど綺麗になりました。
古いボールジョイントにタイロッドリムーバーを噛ましたところ リンクにはPOR-15を塗布しただけ。ハブはその上からシルバーをスプレー。ボールジョイント、トラニオンも新品に交換済み